ようこそ、「先生の相談室」へおいでくださいました。あなたは、学校の先生でしょうか?それとも、これから学校の先生になろうとしている方ですか?あるいは、なんとなく訪れた方もいらっしゃるかもしれませんね。よろしければ、ほんの少しだけ、このページを読んでいただき、もしよろしければ、コメント欄に「あなたの意見や感想」を書いていただければ、幸いです。
 さて、第1回目は「僕が教員になった30数年前と、現在の教育現場の状況」を比較して述べたいと思います。
 私が教員になったのはバブル真っ只中、日本中が少し浮かれていた時代です。私は大学を出てすぐに、田舎の漁師町の中学校教員として採用されました。誰もがそうですが、教壇に立つのは「教育実習」以来で、しかも担任や部活、委員会活動などを受け持ち、右も左もわからない状態でした。取柄と言えば「若さ」だけです(もっとも、この若さが結構な武器だったんだなぁ、と、今は感じます)。パソコンは普及しておらず、ワープロが少しずつ出回っていたころでした。
 漁師町は気性が荒い・・・と、のんびり農家に育った私は、親や兄貴に脅されながら、赴任しましたが、実際はやっぱり子供たちはちょっと荒れていました。ただ、子供たちは確かに生徒指導面で手がかかることが多かったのですが、現在の子供たちとはやはり、決定的な違いがありました。一言でいうなら「家族力」?かな?
 例をあげた方が分かりやすいでしょう。
 A君は、よく授業中に、私語が多く、授業態度は良くありませんでした。もちろん担任として、毎日指導しますが、いっときは直ってもすぐ元通り。
「こりゃ、だめだな。家庭訪問して、母ちゃんに話すか?」と本人に言うと
「先生、それだけは勘弁して!母ちゃんには言わないで!」拝むようにして、泣きついてきます。
「そりゃ、お前次第だよ。先生だって、お母さんに、こんなこと言いたくないからな」
と、これで一か月は持ちます。あとはこの繰り返しですが、これはすごく大切な事だと思うのです。
なぜなら、A君がお母さんに授業態度の悪さを知られたくなかったのは、「怒られる」からですし、「心配をかけたくない」からです。
 それでは、今はどうでしょう?
 B君は、授業中に立ち歩いて、注意も聞き入れません。特に女性の先生への授業態度が悪く、担任に指導してください!というお話が来ます。本人を呼び出して
「今の授業態度を何とかしないと、お母さんに学校での様子を話さなきゃいけないと思うんだけどなぁ」
「勝手に言えばいいじゃん・・・別に」
と、まあ、こんな感じです。もちろん、すべての子供がそうだというわけではありませんが・・・。B君の返答を聞くと心が「ざらっと」します。そして「きっと、お母さんに話しても、効果は期待でないんだろうな」という察しがついてしまいます。
 よく、「時代の変化だよ」という言葉を聞きます。それに対応しなければ、子供たちだって昔と違うのは当たり前なんだから・・・と。確かに、ここでは私の教師としての指導力を棚に上げて、客観的にA君とB君について書きましたが・・・。ただ、「心がざらっと」するんです。子供たちは、私が教師になってから30ん年の間に変わってしまいました。いや、私たち大人が、変えてしまったんです。これを前提にして考えたとき、A君への指導と、B君への指導は、スタートラインから大きく違うのだな、と、あたりまえのことに気付かされ、途方に暮れるのです。
 みなさん、これ、どう思いますか?