学校の先生のティールーム

 THP心理相談員で、中学校教師30ん年のくたびれおじさんです。学校の先生は大変な仕事です。自分も何度もへこたれてきました。  このブログでは、私の経験(いいことも、残念なことも)をお伝えしながら、今、教師の仕事で悩んでいる人・・・これから教師になろうとしている人に、ちょっとだけ、ヒントになるようなことを書いていければと思います。よろしくお願いします!

対教師暴力

 府立中学の教師が「生徒に暴行され、鼻の骨を折ったり、手首を痛めたりしたのに、学校側は警察も救急車も呼んでくれない!」

 今日のネットニュースの一つです。一般の方々が見たら、びっくりするような内容ですが、
 「なにを今さら・・・」感いっぱいです。
 このような事例は、おそらく、日本中の中学校、あるいは最近では小学校でも、毎日起きていると断言できます。
 対教師暴力に対して、まず、校長は警察に届けません。生徒は、このようなことが一回起これば、誤った学習をしますから、次々と同様なことを繰り返します。
 そして、教師は黙って耐えるしかないのです。
 まさに「学校は、生徒にとって『治外法権』の場なのです」。

 こんなことが許されていいはずがありませんし、なんとかしなければなりません。このことは、このブログの初期に何度も訴えてきたことです。
 「学校を訴えるより、誰が悪いのか、明確にすべきではないか?」

 私はそう思うのですが、みなさんはどう思いますか?

 教師をしていれば、絶対避けて通れないのが「子供を叱る」ということですよね。

 「叱る」では表現的にまずいのかな・・・「指導」ですか・・・?

 とにかく、中学校では問題行動を起こす生徒がいることはあたりまえ・・・というのが大前提なので、当然、「叱らなければ」なりません。
 この時の叱り方というか「指導の仕方」を誤ると、のちのち面倒なことになってしまいます。

 私が教師になった30ん年前は、
 問題生徒程、「メンツやプライド」があるから、他の生徒の前では、絶対指導するな!
 別室に移動して、1対1で指導した方がいい。
 という、大原則がありました。

 これは、確かにその通りで、生徒に問題行為があった場合、その場で教師が頭ごなしに指導すると、生徒は他の生徒の手前、おとなしく「はい、すみませんでした」とは言えなくなります。
 教師に対して、素直で従順なのは「かっこ悪い」のが、この年頃なので、上述したように別室指導した方が、断然、指導がはいりやすくなります。

 ただ、これはひと昔もふた昔も前に通じた指導方法になってしまったかもしれません。
 今の生徒の中には「別室指導」が効果的ではないことがあります。

 ふてくされて黙り込んでしまい、あの手この手で事情を聞いたり、反省を促したりしても、「のれんに腕押し状態」になってしまうことが多くなってきました。
 だからといって、教師が感情的になって強い口調で説教をすると、「あげ足」をとられかねません。
あとで、保護者を巻き込み指導方法を非難されることも珍しくないので、留意が必要です。
 
 ですから、生徒を指導するときは「思い通りには指導できない」ことを念頭に置いて、落ち着いて指導する心掛けが必要です。

 私が知っているケースで、担任が個別指導をしている最中に、「あの先生に叩かれた!」と、生徒が虚偽の発言をし、問題がすり替えられた上に、担任教師の身分を危うくさせた・・・ということもありました。
 なので、問題行動のある生徒の指導は、担任が一人で行うのではなく、生徒指導主事に相談した上で、学年がチームとなって指導する必要があります。
 これは、女生徒を男性の担任教師が指導するときも同様でしょう。

 よくも悪くも「学校は聖域」で、「学校の中では、生徒は守られる存在」です。

 しかし、「いじめや対教師暴力」が横行し、それに対応できずにいる今の学校が、このままで良いのでしょうか?

 いじめで自殺に追い込まれている子供が世界一出ている国の学校を、「聖域」と見るか「無法地帯」と見るか・・・。
 あなたは、どちらですか?

 このブログは立ち上げたばかりで、軌道に乗るまではしばらくかかりそうだなぁ、とそう考えていました。一番の目標は「悩んでいる先生方の心のケア」を、ブログ上で、双方向の意見のやり取りをしながら、できればいいなぁ・・・。ということでしたから、暗中模索だったわけです。まずは、できるだけ、毎日、記事を書こう!そんなところから始めました。
 ところが、これまで書いてきたいくつかの記事の中で、たった一つ驚くような反響がありました。「8/10(金)クローズアップ現代+ 対教師暴力について」の記事をアップした後のことです。これまで、なかなか伸びなかったアクセス数がいっきに伸びあがったのです。自分なりに記事の内容を精査してみましたが、この記事は正直、「現在、公務員であることが足かせになって」書ききれない記事で、文章も短く、私にとっては決して納得いくものではありませんでした。にもかかわらず、アクセス数が伸びあがったのは、「タイトル名を検索して」みなさんが偶然、たどり着いたのだ。そう、私は思いました。
 さらに言えば、「8/10(金)クローズアップ現代+ 対教師暴力について」の放送を見たみなさんが、放送終了後の反響を、ネット上に求めた結果だと思うのです。それほどに、あの放送はショッキングなものであり、先生方にとって切実なものだった・・・のではないでしょうか?
 あの放送の中で、テレビに出演し、自分の意見を語ってくださった先生は、まだ20代だった、ということでした。もしかしたら、初任地であのような体験をなさったのかもしれません。だとしたら、あまりにも痛ましいことだ・・・と私は感じました。
 私は30ん年の教員生活の中で8校の学校に勤めてきました。学校によって、あるいは学年によって、年度によって、さらにクラスによって・・・、本当に巡り合わせで、毎日が楽しかったり、逆に、一日一日が生き地獄のように感じることもありました。胃液を吐くような思いをしながら学校に、なんとか通った日々が確かにあったのです。
 ただ、私にとって幸福だったのは、初任校での幸福な記憶であり、体験でした。その時に出会った子供たちとの温かい記憶が、その後の私を支えてくれました。(「へっぽっこ体験記」はこの時の記憶をもとに書かれています。)
 しかし、初任校でつらい現実と向き合わなければならなかったとしたら・・・初めて担任した子供たちから暴力を受けたら・・・あまりにも酷ではないでしょうか?
 今の学校現場では、新任であろうがベテランであろうが、いつなんどき、難しい局面に出会うか、わかりません。
 だからこそ、学校の内部でも外部でも、先生方が相談したり、助けを求めたりする場所が必要だと思うのです。みなさんは、困ったとき、どなたに相談しますか?

 2018年の8月10日(金) NHKの「クローズアップ現代+」で「対教師暴力」について、かなりの時間を割いて、実例をあげたり、経験者や経験した教師の元学校長がインタビューに答える様子が放送されました。正直、NHKがここまで踏み込んだ報道をしたことに、少し驚きました。言うならば、現在の学校の「アンタッチャブル」な問題だからです。また、出演していた経験者である先生の発言と元校長先生の発言が真っ向対立していたのを、そのまま放送してくれたことについても、プロデューサーの心意気のようなものを感じます。しかし、元校長が「学校内で起こったことは学校内で解決したい。できなければ、学校の負けです。」って、勝ち負けの問題でしょうか?
 この「対教師暴力」は物理的な暴力だけではなく、言葉の暴力等を含めば、かなりの数にのぼるはずです。私が勤めてきた学校でも、同じようなことは起こっていました。ともすると、学校の外部のみなさんは、「学校では絶対的に教師は権力者で、子供は弱い立場」だと思いがちでしょうが、それは、ずいぶん昔のお話です。
 今、先生方のメンタルヘルス・心のケアについて、叫ばれていますが、このような認識を変えて行かなければ、心の病気で、戦線離脱していく先生や、教師を志す若者は、どんどん減っていくでしょう。そして、実際にどんどん減っていて、教員採用試験の倍率も低下しているのが現状です。どんな職種であれ、自分を守ってくれない職場でなど、誰も働きたくないはずです。あなたの職場は、どうですか?

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